ペット防災チェックリストふだん・逃げるとき・避難のあと、時期別に15項目【犬・猫の記事まとめ】
犬や猫と暮らしていると、防災のことも気になる。けれど、何から手をつければいいか分からん、という声をよく聞く。 そこでこの記事では、ペットの防災を「ふだん」「逃げるとき」「避難のあと」の3つの時期に分けて、5つずつ、全部で15項目のチェックリストにまとめた。 項目ごとに、くわしく書いた記事へのリンクもつけておる。このサイトのペット防災の記事は、ここから全部たどれるぞ。 数字や決まりごとは、環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂案と、能登半島地震の記録集をもとにしておる。 全部を一度にやらなくてよい。まだ「いいえ」の項目を、ひとつずつ減らしていけば十分じゃ。
図解: ペット防災チェックリスト15
15項目を1枚にまとめた。印刷して、ペットの持ち出し袋のそばに貼っておくとよい。できた項目に印をつけていけば、残りがひと目で分かるぞ。
結論:3つの時期に5つずつ
先に、15項目を全部並べておく。くわしいことは、このあと時期ごとに書くぞ。
①身元の表示を二重にする ②フードと水を少なくとも5日分 ③キャリーやケージに慣らす ④持ち出し袋をまとめる ⑤避難先と受け入れ方を調べる
⑥前もって分かる災害は早めに動く ⑦まず人の安全 ⑧ペットと一緒に逃げる ⑨犬はリード、猫はキャリー ⑩離れて暮らす親のペットも決めておく
⑪避難所のルールに合わせる ⑫在宅避難は家が安全なときだけ ⑬車で過ごすなら体に気をつける ⑭はぐれたら3か所に連絡 ⑮体調の変化を見る
いちばん大事なのは、ふだんの5つじゃ。逃げるときと避難のあとにできることは、ふだんの備えでほとんど決まってしまう。迷ったら、まず①から⑤を見てくれ。
時期で分けて考えるわけ
なぜ時期で分けるのか。令和6年の能登半島地震の記録を見ると、困りごとが時期ごとにちがうからじゃ。
獣医師などが見回った避難所119か所のうち56か所に、ペットと一緒に逃げてきた人がおった。数えられたのは犬43頭、猫22頭、そのほか4頭
民間団体の調べでは、珠洲市・輪島市・能登町だけで131世帯が、ペットと家で避難生活を送っておった
石川県が保護した犬は110頭、猫は291頭。飼い主に戻れたのは犬46頭、猫2頭じゃった
逃げる場面で役に立つのはキャリーやリード、避難のあとはフードや水、はぐれたあとは迷子札やマイクロチップ。どの時期に何が要るかを分けておくと、準備のもれが見つけやすい。
もうひとつ、時期で分けると家族で役割を分けやすい。ふだんの備えは家にいる時間が長い人、逃げるときのキャリーは力のある人、はぐれたときの連絡は電話をかけられる人。だれが何をするかを決めておけば、いざというときに迷わずにすむぞ。
とくに3つ目の数字は覚えておいてほしい。保護された猫291頭のうち、飼い主の元へ戻れたのは2頭だけじゃった。記録集によると、保護された犬と猫のうち、身元の表示をつけていたのは犬10頭だけで、猫は0頭じゃった。身元の表示は、はぐれてからでは付けられん。じゃから、チェックリストの1番目に置いたんじゃ。
備えは、ふだんにしかできん。揺れてから迷子札を探しても、もう間に合わんのじゃ。
ふだんの5つ
ここからは1項目ずつ見ていく。まずは、今日からできるふだんの5つじゃ。
① 身元の表示を二重にする
首輪に迷子札をつけ、マイクロチップの登録情報を今の住所と電話番号にしておく。犬は鑑札と狂犬病の注射済票をつけることが法律で決まっておる。迷子札は外れることがあるし、マイクロチップは読み取る機械がないと分からん。2つを重ねておくのがよい。くわしくは災害でペットが迷子になったら?に書いた。
② フードと水を少なくとも5日分
ペットフードと水は、少なくとも5日分、できれば7日分以上。環境省の改訂案に、そう書いてある。治療中の子は、療法食と薬がいちばん上じゃ。ふだん使いながら買い足すローリングストックなら、いつもの味のまま備えられる。数え方はペットフードの備蓄は何日分?を見てくれ。
③ キャリーやケージに慣らす
避難所では、ペットはケージやキャリーの中で過ごすことが多い。改訂案も、ケージに慣れておくことを求めておる。猫は、キャリーを出しっぱなしにして寝床のひとつにするところから始めるとよい。やり方は猫がキャリーを嫌がる|大人猫を1か月で慣らす4週間プログラムに、犬のクレートのことは犬と避難所で過ごすには?に書いた。
④ 持ち出し袋をまとめる
避難先で使うペット用品には、改訂案で3つの優先順位がつけられておる。いちばん上は療法食と薬、フードと水、キャリーやケージ、予備の首輪とリード、ペットシーツとトイレ用品、食器。その次が、飼い主の連絡先、ペットの写真、ワクチンや持病の記録といった情報じゃ。写真は、紙とスマートフォンの両方に残しておくとよい。猫の家は猫の防災グッズ、本当に要るもの一覧も見てくれ。
⑤ 避難先と受け入れ方を調べる
ペットをどう受け入れるかは、避難所ごとにちがう。同じ部屋で過ごせるところもあれば、別の部屋や屋外に分けるところもある。市や区のホームページで、近くの避難所の受け入れ方を調べておいてくれ。言葉の意味は同行避難と同伴避難はどう違う?で整理したぞ。
避難先は、指定された避難所だけではない。改訂案には分散避難という考え方も書かれておる。安全な親戚や知人の家、ホテルや旅館に移ったり、家の中で安全を確保したりするのも、立派な避難じゃ。ペットを受け入れてくれそうな親戚や友人がいれば、「もしものときは頼めるか」と、ふだんのうちに聞いておくとよい。
逃げるときの5つ
次は、災害が近づいたとき、起きたときの5つじゃ。ここは、その場で考えるより、前もって決めておくことが大事になる。
⑥ 前もって分かる災害は早めに動く
台風や大雨は、ある程度前から分かる。ペットを連れての避難は、ふつうより時間がかかる。警戒レベル3の「高齢者等避難」が出たら、ペットのいる家も動き始める目安にするとよい。くわしくは台風が来る前に、ペットのためにやる3つのことに書いた。
⑦ まず人の安全
ペットと逃げるのは、飼い主自身の安全を確保したうえでのこと。改訂案も、これを大前提としておる。揺れている最中は、まず自分の身を守る。ペットを探すのは、揺れがおさまってからじゃ。
揺れのあと、驚いたペットは家具のすき間や物かげにかくれてしまうことが多い。ふだんからうちの子がかくれそうな場所を家族で知っておくと、探す時間が短くなる。どうしても見つからないときに、自分の避難をあきらめてはいかん。
⑧ ペットと一緒に逃げる
避難が必要なときは、ペットを連れて安全な場所まで逃げる。これを同行避難という。改訂案には、東日本大震災で、いったん避難した飼い主がペットを連れ出そうと家に戻り、津波に巻き込まれたことも書かれておる。置いて逃げて、あとから取りに戻るのがいちばんあぶない。逃げるときは一緒に、と決めておいてくれ。
⑨ 犬はリード、猫はキャリー
外は、ふだんとちがう音やにおいで、ペットがおびえて走り出しやすい。犬は首輪とリード、猫や小さな動物はキャリーに入れて逃げる。改訂案の持ち出し品には、猫を保護するときに役立つ洗濯ネットも入っておる。キャリーに入れる前に洗濯ネットに入れておくと、扉を開けたときに飛び出しにくい。
古いプラスチックのキャリーにも気をつけてくれ。改訂案には、年月がたった組み立て式のキャリーは、分解したり扉が開いたりすることがあるので、ガムテープなどで周りを固定するとよい、と書いてある。ときどき、留め具がゆるんでいないか見ておくと安心じゃ。
⑩ 離れて暮らす親のペットも決めておく
親がひとりで犬や猫を飼っている家は、親が逃げるときにペットをどうするかを、電話で話しておいてくれ。キャリーの置き場所、預け先、かかりつけの動物病院。親が飼っている犬猫の防災に、家族で決めることをまとめたぞ。
避難のあとの5つ
最後は、避難生活が始まってからの5つじゃ。避難のしかたは、避難所だけではない。家や車で過ごすこともある。
⑪ 避難所のルールに合わせる
避難所には、動物が苦手な人やアレルギーのある人もおる。避難所でペットと暮らすには、人や他の動物をこわがらない、むやみに吠えない、ケージに慣れている、決まった場所で排泄できることが要る、と改訂案は書いておる。ペットの居場所やお世話の決まりは、避難所ごとにちがう。着いたら、まず受付で聞いてくれ。
避難所でのペットの過ごし方は、大きく4つの形に分けられる。飼い主と同じ部屋、別の部屋、屋外、そしてペットだけ車の中じゃ。どの形になるかは、避難所の広さや集まった人の数で変わる。どれになっても困らんように、ケージで静かに過ごせる練習をしておくのが、いちばんの備えなんじゃよ。
⑫ 在宅避難は家が安全なときだけ
家の安全が確かめられたら、家で避難生活を送る在宅避難も選べる。ただし、家にいると物資や情報が届きにくい。必要なときは、指定避難所へ取りに行くことじゃ。くわしくはペットと在宅避難はできる?じゃ。
⑬ 車で過ごすなら体に気をつける
ペットがいるからと、車の中で寝起きする人もおる。手足をのばして眠れるようにし、日よけや換気をする。エコノミークラス症候群や熱中症を防ぐためじゃ。ペットだけを車に残すのも避けてくれ。
⑭ はぐれたら3か所に連絡
はぐれてしまったら、待っていないで自分から探す。保健所、動物愛護センター、警察署の3か所に連絡して、ペットの写真と特徴を伝える。保護された犬や猫がどこへ届けられるかは拾った人しだいじゃから、1か所だけでは見落としが出るんじゃ。くわしい順番は災害でペットが迷子になったら?に書いた。
⑮ 体調の変化を見る
避難所や保護施設では、ペットが下痢や吐くこと、食欲が落ちることなど、ストレスの兆しを見せることがある。改訂案にも、そう報告されておる。ほかの動物と近くなるので、病気がうつるおそれもある。ふだんのようすを知っているのは飼い主だけ。いつもとちがうと思ったら、早めに獣医師に相談してくれ。
犬と猫で違うところ
15項目は犬にも猫にも使える。ただ、力を入れるところが少しちがう。
避難所では、「待て」「おいで」ができるか、むだに吠えないかが大事になる。鑑札と注射済票をつけるのは飼い主の義務じゃ
猫は場所が変わるとストレスを感じやすい。改訂案も、長くケージに入れておくのがむずかしいと書いておる。キャリーに慣らすことと、扉を開けたときに逃げないことに気をつける
猫の家は、家が安全なら在宅避難も考えておくとよい。場所が変わると落ち着かない子には、在宅避難のほうが負担が少ないからじゃ。犬の家は、避難所で過ごす練習を、散歩のついでに少しずつ進めておくと安心じゃ。
記事を読む順番
このサイトのペット防災の記事は、全部で10本ある。はじめての人は、上から順に読んでくれ。
- ペットの防災、まず何から? まず全体の5ステップをつかむ
- ペットフードの備蓄は何日分? フードと水の数え方
- 同行避難と同伴避難はどう違う? 避難の言葉の意味
- 災害でペットが迷子になったら? 身元の表示と、はぐれたときの連絡先
- ペットと在宅避難はできる? 家で過ごすときの決まりごと
- 猫の防災グッズ、本当に要るもの一覧と猫がキャリーを嫌がる 猫と暮らす家に
- 犬と避難所で過ごすには? 犬と暮らす家に
- 台風が来る前に、ペットのためにやる3つのこと 台風や大雨の前に
- 親が飼っている犬猫の防災 離れて暮らす親がペットを飼っている人に
全部読まなくてもよい。チェックリストで「いいえ」だった項目の記事から読むのが、いちばん早いぞ。
間違えやすい3つ
受け入れ方は避難所ごとにちがう。能登でも、多くの避難所にペットと一緒に逃げてきた人がおった。前もって近くの避難所の受け入れ方を調べておくことじゃ
同行避難は一緒に逃げること。避難所で同じ部屋にいられるかどうかは、また別の話じゃ
災害のときは、窓や戸がこわれて外に出てしまうことがある。家の中の猫にも身元の表示をつけておいてくれ
やらなくていいこと・やってはいけないこと
15項目と聞くと多く見えるが、がんばりすぎなくてよい。やらなくていいことと、やってはいけないことを書いておく。
まず要るのは、いつものフードと水、キャリー、トイレ用品。家にある物で足りることも多い
1週間に1つでよい。4か月もあれば、全部そろう
東日本大震災では、ペットを連れ出そうと家に戻って津波に巻き込まれた人がおった。逃げるときは一緒に
それから、ペットのことで自分の避難を遅らせないことじゃ。見つからないときは、ドアを少し開けておくなどして、まず自分が逃げる。あとで探す方法は、ちゃんとある。
飼い主が無事でなければ、ペットを守る人がおらんようになる。まず自分、それからペット。この順番だけは、まちがえんでくれ。
今日できる3つのこと
最後に、今日すぐできることを3つだけ。どれも10分で終わるぞ。
図解を見ながら、15項目のうちできているものに印をつける。「いいえ」の数が、これからやることの数じゃ
首輪の迷子札とマイクロチップの登録が、今の電話番号になっているかを確かめる
全身と顔の写真を撮って、スマートフォンに残し、1枚は印刷して持ち出し袋へ
よくある質問
Q. ペットの防災は、何から始めればいい?
A. 迷子札とマイクロチップの確認からじゃ。能登半島地震では、保護された猫291頭のうち、飼い主の元に戻れたのは2頭だけじゃった。身元の表示は、はぐれてからでは付けられん。次に、フードと水を少なくとも5日分そなえてくれ。
Q. ペットのフードと水は、何日分そなえればいい?
A. 環境省のガイドライン改訂案では、少なくとも5日分、できれば7日分以上じゃ。治療中の子は、療法食と薬をいちばん先にそなえてくれ。
Q. 同行避難と同伴避難は、どうちがう?
A. 同行避難はペットと一緒に安全な場所まで逃げること、同伴避難は避難所などでペットを飼いながら過ごすことじゃ。同行避難をしても、同じ部屋で過ごせるとはかぎらん。
Q. 家の中だけで飼っている猫にも、防災の備えは要る?
A. 要る。災害のときは、窓や戸がこわれて外へ出てしまうことがある。迷子札やマイクロチップをつけ、キャリーに慣らしておいてくれ。
出典
- 環境省「令和6年能登半島地震における被災動物対応記録集」(令和7年9月)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂案(2026年6月 パブリックコメント資料)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」(平成30年3月)
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」
- 内閣府「避難情報に関するガイドライン」
本記事は2026年10月時点の情報にもとづいています。能登半島地震の数字は、環境省の記録集(令和7年9月)に載っているものです。避難所の数は獣医師などが見回った避難所の数、在宅避難の世帯数は民間団体へのアンケートによる1月末(能登町は2月末)の数字です。ガイドライン改訂案は2026年6月にパブリックコメントにかけられたもので、内容は今後変わることがあります。避難所でのペットの受け入れ方は自治体や避難所ごとに異なりますので、お住まいの市区町村の情報をご確認ください。