台風が来る前に、ペットのためにやる3つのこと動き出すのは「レベル3」より前。理由は3つある
地震はある日突然やってくる。じゃが台風はちがう。何日も前から、来ることが分かっておる。 これはペットと暮らす家にとって、とても大きな意味を持つ。 選ぶ時間があるということじゃからな。 この記事では、その時間をどう使うか——やること3つと、いつ動き出すかを整理していくぞ。
図解: 台風のタイムラインとペットの動き
結論を1枚にまとめた。いつ、何をするかじゃ。 台風が近づいてきたら、これを見ながら順に進めればよい。印刷して冷蔵庫に貼っておくとええぞ。
台風は「予測できる」——これが最大の利点
環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」には、風水害についてこう書かれておる。
風水害は、地震災害のように突然襲ってくるものではなく、地域や規模などをある程度予測することができることから、早期避難により被害を軽減できる場合もある。(中略)危険が迫る前にペットを連れて安全な避難所や親戚・知人宅、ペット可の宿泊施設への早期避難を勧めるなどの対策を講じることが必要である。 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂案
「危険が迫る前に」——ここが台風対策の全部じゃ。 地震では「逃げ込む」しかないが、台風では「移っておく」ことができる。 ペット可の宿に泊まる、親戚の家に行く、あるいは自宅にとどまると決める。 どれも、慌てていない状態でなら選べる。
ペットと暮らす家にとって、台風はいちばん「なんとかなる」災害じゃ。 時間があるからな。逆に言えば、その時間を使わなかったときだけ、いちばん困る災害にもなる。 使うか使わないかは、こちら次第というわけじゃ。
今年から、情報の名前が変わりました
ここは今年から変わった大事な点なので、先にお伝えしておく。 2026年(令和8年)5月下旬から、気象庁の防災気象情報の名前が変わった。 今年が、新しい呼び方で迎える最初の台風シーズンじゃ。
何が変わったか。ひとことで言うと、情報の名前に、警戒レベルの数字がそのまま付くようになった。
名前を見ただけで、どのレベルの話なのかが分かる。数字を覚えるだけでよくなったということじゃ
レベル3は高齢者等避難にあたる段階。この名前が出たら、高齢の親御さんとペットは動き始める合図じゃ
レベル4は避難指示にあたる段階。「危険警報」という新しい呼び方が、レベル4相当の情報として使われる
河川の氾濫が差し迫ったときに出る、新しい特別警報。レベル5はすでに災害が起きている段階で、命を守る行動をとる
それともうひとつ。これまでの「台風情報」は「気象解説情報(台風第○号)」という名前になった。 テレビやアプリで見慣れない言葉が出てきても、台風の解説をしているのだと思ってくれてよい。
高齢の親御さんに伝えるなら、「警報の名前に数字が付くようになったよ。3が出たら動いてね」—— この一言で十分じゃ。むしろ以前より分かりやすくなったのだから、いい機会に電話をしてみてはどうかの。
やること① 行き先を決める
台風が近づくと分かった日(3日前が目安)に、まずこれを決める。 持ち物より先じゃ。行き先が決まらないと、荷物の中身も決まらんからな。
ハザードマップで自宅に色がついていなければ、これが第一候補。ペットにとっていちばんストレスが少ない。ただし停電・断水への備えが前提になる
被災想定エリアの外に1軒あれば心強い。「台風のときお願いするかも」を、平常時に言っておくのがコツ。当日いきなりは頼みにくい
台風だからこそ使える手じゃ。予測できる災害でしか成立しない選択肢でな。ただし数が限られるので、早く動いた人から埋まる
Aを選べる家にしておく準備は、ペットの防災 5ステップのSTEP1とSTEP3がそのまま効いてくる。 避難所という選択肢については、受け入れ条件が自治体ごとに違うので 同行避難と同伴避難はどう違う?を先に読んでおいてほしい。
やること② 家を「上」に備える
台風の備えは、地震とは向きがちがう。地震は「落ちてこない・倒れてこない」じゃが、 台風は「水は下から来る」。だから守り方も上向きになる。
浸水想定のある地域なら、前日のうちに2階へ移す。水が来てから運ぶのは無理じゃ。フードと水も一緒に上げておく
できるなら家の中に入れるのが最善。難しければ飼養場所をあらかじめ移す・係留の仕方を工夫する・飛び上がれる高い場所を作る。環境省のガイドラインにも挙げられておる
植木鉢、物干し竿、ゴミ箱。窓が割れると、家の中にいるペットが危ない。ガラスのそばからケージを離しておくのも忘れずに
断水したときの生活用水になる。ペットのトイレの後始末にも使える。ただし小さな子どもがいる家では事故に注意
人の側の前日準備は、台風がくる前日の15分チェックリストに 「そと5分・なか5分・じょうほう5分」でまとめてある。この記事と合わせて使うとちょうどよいぞ。
やること③ 玄関に出しておく
三番目は、いちばん簡単で、いちばん忘れられること。物を、玄関に移動させる。それだけじゃ。
- キャリー・ケージ——押し入れの奥にあると、それだけで20分失う。前日に出して、扉を開けて置いておく。猫はそこで昼寝を始めるかもしれんが、それでよい
- ペット用の持ち出し袋——フード、水、薬、トイレ用品。中身は猫の防災グッズ一覧にまとめてある
- 洗濯ネット——猫がパニックになったとき、これがあるとキャリーに入れられる。100円で買えて、袋の中で場所も取らん
- 車の給油——移動を選ぶなら前日までに。停電するとガソリンスタンドも止まる
- スマホとモバイルバッテリーの充電——情報を取る手段であり、ペットの写真を見せる手段でもある
動き出すのは、レベル3より前
さて、いちばん大事なところじゃ。いつ動くか。
一般には「警戒レベル3(高齢者等避難)で、高齢の方や避難に時間がかかる人は動く」とされておる。 じゃがわしは、ペットと暮らす家は、それより前に動き始めるべきだと考えておる。理由は3つ。
猫がソファの下に入ったら、それだけで30分。「すぐ出る」ができないのがペットのいる家じゃ。人だけの家と同じ時間割では間に合わん
キャリー+荷物+人。歩いて行ける距離でないことも多い。道が混む前、冠水する前に走り出す必要がある
ペット可の宿も、ペットを受け入れる避難所も数が少ない。早く動いた人から埋まる。これは残酷なようじゃが事実じゃ
目安を1つだけ覚えるなら、これじゃ。
「レベル3が出てから動く」ではなく、「レベル3が出るころには、もう着いている」。
明るいうちに、雨が強くなる前に。それがペットのいる家の時間割じゃよ。
高齢の親御さんと「レベル3で動く」を約束しておく話は、 高齢の親が避難を嫌がる理由と、けんかにならない伝え方に書いてある。 ペットがいるなら、その約束をもう一段早めておくとよい。
やってはいけない3つ
最後に、これだけは避けてほしいことを3つ。
環境省のガイドラインでも、道路が冠水してからの移動は非常に危険とされ、建物の高い階にとどまる「垂直避難」が選択肢として示されておる。水の中はマンホールの蓋が外れていても見えん。キャリーを持っていればなおさら危ない
「すぐ戻れるから」で置いていくと、戻れなくなることがある。そして取りに帰ろうとした人が命を落とした例が実際にある。連れて出るか、一緒に残るか。そのどちらかじゃ
台風でいちばん多い失敗がこれじゃ。様子を見ているうちに、暗くなり、雨が強くなり、道が使えなくなる。決めるのは明るいうち。空振りでよい。空振りできるのが台風の良いところじゃ
よくある質問
Q. 台風のとき、ペットといつ避難する?
A. レベル3(高齢者等避難)が出る前に動き始めるのが目安じゃ。ペットのいる家は、キャリーに入れるのに手間取る・車が要る・受け入れ先が少ない、という3つの事情があってな。人だけの家より一段早く動く必要がある。「レベル3で動く」ではなく「レベル3のころにはもう着いている」——これを目安にしてくれ。
Q. 2026年から情報の何が変わった?
A. 今年5月下旬から、防災気象情報の名前にレベルの数字が付くようになったんじゃ。大雨警報は「レベル3大雨警報」、高潮注意報は「レベル2高潮注意報」、土砂災害警戒情報は「レベル4土砂災害危険警報」という具合でな。「レベル5氾濫特別警報」も新しくできた。台風情報は「気象解説情報(台風第○号)」になる。名前を見ればとるべき行動が分かる、という狙いじゃ。
Q. 冠水してから避難してもいい?
A. やめておいてくれ。環境省のガイドラインでも、冠水後の移動は非常に危険で、建物の高い階にとどまる「垂直避難」が選択肢として挙げられておる。水の中はマンホールの蓋が外れていても見えんし、浅く見えても流れに足をとられる。キャリーを抱えていればなおさらじゃ。冠水したら、2階へ上がって安全を確保してくれ。
Q. 外で飼っている犬はどうする?
A. できるなら屋内に入れるのが一番じゃ。難しい場合は、環境省のガイドラインにあるとおり、増水が予想される地域ではあらかじめ飼養場所を移す、増水しても難を逃れられるよう係留の仕方を工夫する、飛び上がれる高い場所を用意する。あわせて、まわりに飛ばされそうな物や倒れそうな物がないか、首輪や鎖が外れんかも見ておいてくれ。
出典
- 気象庁・国土交通省水管理・国土保全局「新たな防災気象情報の運用について」(令和7年12月16日発表/運用開始 令和8年5月下旬)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」およびその改訂案
本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。避難の判断はお住まいの自治体が発表する避難情報に従ってください。 避難所のペット受け入れ条件は自治体・避難所ごとに異なるため、事前にご確認ください。