災害でペットが迷子になったら?連絡先は3か所。待たずに、自分から名乗り出る
大きな揺れや物音に驚いて、ペットが家を飛び出してしまう。避難のどさくさで、リードが手から離れてしまう。 災害のときには、どんなに気をつけていても、はぐれることがある。 そんなとき、いちばん大事なのは「連絡を待たずに、自分から探しに行く」ことじゃ。 令和6年の能登半島地震では、石川県が保護した猫291頭のうち、元の飼い主が見つかったのは2頭だけじゃった。 この記事では、はぐれたときに連絡する3か所と伝えること、そしてはぐれても戻ってくるための備えを順番に書いていくぞ。
図解: はぐれたら3か所、はぐれる前に3つ
やることを1枚にまとめた。印刷して、ペットの持ち出し袋に入れておくと、いざというとき慌てずにすむぞ。 自分の住む地域の保健所と動物愛護センターの電話番号を、余白に書き込んでおいてくれ。
結論:連絡する・名乗り出る・確認を続ける
先に答えを書いておく。はぐれたときにやることは、この3つじゃ。
保健所・動物愛護センター・警察署。保護された犬や猫がどこへ行くかは、拾った人しだいじゃから、1か所では足りん
「うちの子がいなくなった」と自分から伝える。写真、毛色、首輪の色、マイクロチップ番号を用意して話す
保護された動物を預かってもらえる期間には限りがある。ホームページと電話で、くり返し確かめる
そして、はぐれる前にできる備えも3つある。連絡先を書いた迷子札、登録済みのマイクロチップ、子どものスマホにも入れた写真じゃ。 どれも、保護してくれた人が「この子の飼い主は誰か」にたどり着くための手がかりになる。 はぐれたあとに自分から探すことと、はぐれる前に手がかりをつけておくこと。この両方がそろって、ようやく戻ってこられるんじゃ。
能登半島地震で、何が起きたか
まず、実際の数字を見てほしい。環境省が令和7年9月にまとめた「令和6年能登半島地震における被災動物対応記録集」に、こうある。
石川県が保護収容した数は、犬110頭、猫291頭で、このうち元の飼い主が見つかった頭数は犬46頭、猫2頭で、その全てが元の飼い主に返還されました 環境省「令和6年能登半島地震における被災動物対応記録集」(令和7年9月)
期間は令和6年1月1日から9月30日まで、金沢市を除く県内全域の数字じゃ。 石川県は災害時の保護を平常時の行政活動の一環として行っており、記録集は、令和6年4月のいしかわ動物愛護センター開所の影響もあって震災による収容頭数の増減は確認できていないとも書いておる。 それでも、犬は半分近くが戻ったのに、猫はほとんど戻らなかったという差は、はっきり見てとれる。
では、何が分かれ目になったのか。同じ記録集は、保護された動物が飼い主の手がかりを身につけていたかどうかも調べておる。
- 手がかりを身につけていたのは、犬10頭だけ。10頭ともマイクロチップじゃった。迷子札つきの首輪、鑑札、狂犬病予防注射済票をつけていた犬はおらんかった
- 猫は、手がかりを身につけていた子が0頭。迷子札もマイクロチップもなかった
- マイクロチップの犬10頭のうち、飼い主が分かったのは3頭。記録集は、チップは入っていても飼い主の情報が登録されていなかったために、飼い主が分からなかった事例があったと書いておる
さらに、返還につながったきっかけについても書いてある。
石川県が保護した飼い主不明のペットの返還においては、飼い主からの自己申告により返還されたケースが多かったほか、インターネットのホームページ掲載から返還に結び付いてケースが確認されています。一方、避難所でのポスターやチラシの掲示が返還に結び付いたケースはありませんでした。 環境省「令和6年能登半島地震における被災動物対応記録集」(令和7年9月)
「飼い主からの自己申告」で戻ったケースが多かった。つまり、飼い主が自分から名乗り出た子が多く戻ったんじゃ。 手がかりのない子は、役所のほうからは飼い主に連絡のしようがない。待っていても、電話は鳴らん。これが、この記事でいちばん伝えたいことじゃ。
猫291頭のうち2頭。この数字を見たとき、わしは思わずひなたの首もとを見た。 保護されても、誰の子か分からなければ、家には帰れん。自分から探すことと、見つけてもらうための手がかり。両方が要るんじゃよ。
はぐれたら1:3か所に連絡する
はぐれたと分かったら、なるべく早く、次の3か所に連絡してくれ。
はぐれた場所を受け持つ保健所。迷子の犬や猫の相談を受けつける窓口になっておる自治体が多い。どこが窓口かは、自治体のホームページで確かめておく
都道府県や市の動物愛護(管理)センター。保護した犬や猫を収容しておるところじゃ。収容した動物の情報をホームページに載せておる自治体もある
拾った人が、迷い犬や迷い猫を警察に届けることもある。はぐれた場所の近くの警察署に問い合わせる
なぜ3か所なのか。法律の仕組みを見ると分かる。遺失物法では、拾った物は警察署長に届けるのが原則じゃが、犬や猫については、拾った人が自治体に引き取りを求めた場合は、警察に届けなくてよいことになっておる。 つまり、同じ迷い犬でも、警察にいることもあれば、自治体のセンターにいることもある。片方だけに連絡していると、見落としてしまうんじゃ。
東京都動物愛護相談センターも、逃がしてしまった飼い主に向けて、センターのほかに逃がした場所を受け持つ保健所(23区内)や警察署にも問い合わせるよう案内しておる。 そして、もうひとつ大事なことが書いてある。
区市、都県の境界部で逃がした方、遠方まで逃げていく可能性のある場合などは、周辺の地域を所管するセンター、保健所、警察署などにもお問い合わせを入れてください。 東京都動物愛護相談センター「犬、猫を逃がしてしまった飼い主の方へ」
ペットは、市や県の境目など気にせず移動する。境目の近くではぐれたら、隣の地域の窓口にも連絡しておいてくれ。 大きな災害のときは、自治体と獣医師会などが動物救護本部(動物対策本部)を作って、迷子のペットの保護や情報の取りまとめをすることもある。 そうした窓口ができたら、そこにも届けておくとよい。
はぐれたら2:写真と特徴で名乗り出る
電話をかける前に、伝えることを紙に書き出しておくとよい。慌てていると、大事なことを言い忘れるからの。 東京都港区の案内では、ペットを探すときに相談窓口へ伝える情報として、次の項目を挙げておる。
- いなくなった日時と場所。「何日の何時ごろ、どこで」をできるだけ具体的に
- 種類・性別・年齢。犬なら犬種、猫なら雑種かどうかも
- 首輪の色。首輪をつけていたなら、色や形も
- 鑑札番号(犬)。鑑札は自治体に登録した証明じゃ
- マイクロチップ番号(犬・猫)。15桁の番号。登録証明書に書いてある
- その他の特徴。たとえば毛色、しっぽや耳の形、体の大きさなど
ここで役に立つのが、ふだん撮っておいた写真じゃ。全身が写って、模様がよく分かる写真があれば、言葉で説明するよりずっと早く伝わる。 保護された動物の情報をホームページで見るときも、写真と見比べて確かめられる。
能登半島地震では、ホームページへの掲載から返還につながったケースがあった。 自治体のホームページに保護・収容した動物の一覧が載っていたら、こまめに見ておいてくれ。 ただし、東京都動物愛護相談センターは、ホームページの収容動物情報のほかに、個人が自宅などで保護している動物の情報(保護動物情報)は公開しておらんから、必ず電話でも問い合わせるようにと案内しておる。 ネットで見て、電話でも聞く。この両方じゃ。
それから、家のまわりも見ておくとよい。環境省の改訂案には、災害のときに放浪している動物を保護した人が、ペットを探しに来る飼い主のために、保護した現場に連絡先などを書いた「保護カード」を残すやり方が紹介されておる。 家や、はぐれた場所の近くに、こうした書き置きが残っていないか、確かめてみてくれ。
はぐれたら3:間をあけずに確認を続ける
一度電話して「いません」と言われても、そこで終わりにしてはいかん。保護される日は、明日かもしれんからの。 そして、保護された動物を預かってもらえる期間には、限りがある。
当所に収容した犬、猫の収容期限は、7日間ですので、お問い合わせの間隔は、7日以上あけないようにしてください。 東京都動物愛護相談センター「犬、猫を逃がしてしまった飼い主の方へ」
これは東京都の例で、期間は自治体によって違う。 能登半島地震のとき、石川県は、飼い主に返す機会を増やすために、保護した動物を公に知らせる公示の期間を、平常時の2日間から14日間に延ばしたと記録集にある。 裏を返せば、平常時は2日間という地域もあるということじゃ。 自分の住む地域では何日なのかを、はぐれる前に一度、確かめておくと安心じゃよ。
東京都のセンターは、もうひとつ大事なことを書いておる。身元の表示がない動物については、センターから飼い主に連絡することはできない。 そして、表示をしていても確認できない場合があるから、必ず飼い主のほうから問い合わせてほしい、と。 迷子札やマイクロチップがあっても、自分から聞きに行くのが基本なんじゃ。
はぐれる前の備え:迷子札・マイクロチップ・写真
ここからは、はぐれても戻ってこられるようにする備えじゃ。環境省のガイドラインは、こう書いておる。
外から見えて誰でもすぐにわかる迷子札などをつけるとともに、脱落のおそれがなく、確実な証明となるマイクロチップを装着し、(公社)日本獣医師会などに所有者情報の登録を行っておくことで万一はぐれた際の返還の可能性を高めることが出来る。 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」(平成30年)
※平成30年のガイドラインの書き方じゃ。いまは、後で書く国の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」制度で登録するしくみになっておる。
1. 迷子札は外から見える手がかり
迷子札は、拾ってくれた人がその場で連絡できるのが強みじゃ。マイクロチップは専用の読み取り機がないと分からんが、迷子札なら誰でも読める。 飼い主の電話番号を必ず入れておく。親のペットなら、子どもの電話番号も入れておくと、親と連絡がつかないときに役に立つ。
犬の場合は、狂犬病予防法で鑑札と狂犬病予防注射済票をつけることが義務になっておる。鑑札は自治体に登録した証明じゃから、これも立派な手がかりになる。 猫の首輪は、引っかかったときのために力が加わると外れるタイプがよいと言われておる。ガイドラインは、このタイプを使う場合はマイクロチップの装着を強く推奨するとしておる。首輪ごと外れてしまうことがあるからじゃ。
また、東京都のセンターは、首輪の締めつけがゆるくて抜けることはないか、大人の手指が2本入る程度を目安に確かめるよう呼びかけておる。 大きな音に驚いて逃げる子は多い。迷子札をつける前に、まず首輪が抜けないかを見ておいてくれ。
2. マイクロチップは入れたら「登録」と「更新」
マイクロチップは、15桁の番号が記録された小さな器具で、獣医師が皮膚の下に埋め込む。 保護された動物にリーダーをあてて番号を読み、登録された飼い主の情報と照らし合わせることで、飼い主のもとへ戻せるしくみじゃ。
令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫には、マイクロチップの装着が義務になった。 家で飼っている犬や猫への装着は努力義務じゃが、装着したら登録は義務になる。 そして、能登の記録が教えてくれたとおり、チップは入れただけでは役に立たん。確かめておくことは次の3つじゃ。
ペットショップなどで迎えた子は、店の情報で登録されておる。飼い主になったら変更登録が必要じゃ(取得から30日以内。オンラインの手数料は400円)
引っ越しや電話番号の変更があったら、登録事項の変更の届出をする。こちらは手数料がかからん
変更の手続きには登録証明書(番号と暗証記号)が要る。写真に撮って、家族のスマホにも入れておく
手続きは、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」のサイトからできる。 令和4年6月より前から飼っていて、民間の登録団体に登録しておる子は、国の制度への登録は義務ではないが、希望すれば登録できるから、コールセンターに相談してみてくれ。 入っているかどうか分からない子は、かかりつけの動物病院で読み取ってもらえる。
3. 写真は子どものスマホにも
ガイドラインは、備えておく情報としてペットの写真を挙げ、印刷したものと一緒に、携帯電話などに画像を保存しておくことも有効としておる。 全身、顔、模様の特徴が分かるもの。そして、マイクロチップの登録証明書と、鑑札番号も写真に撮って同じアルバムに入れておくと、電話で聞かれたときにすぐ答えられる。 離れて暮らす親がペットを飼っているなら、子どものスマホにも同じアルバムを作っておいてくれ。くわしくは親が飼っている犬猫の防災に書いたぞ。
間違えやすい3つ
環境省の記録集は、名前や連絡先が分からない首輪だけでは、所有明示としては不十分としておる。連絡先の入った迷子札が要る
能登では、登録されていなかったために飼い主が分からなかった事例があった。登録と、連絡先の更新までがセットじゃ
身元の表示がなければ、役所からは連絡できん。表示があっても確認できないこともある。自分から問い合わせるのが基本じゃ
やらなくていいこと・やってはいけないこと
はぐれたときは、気持ちばかりが焦る。じゃからこそ、やらなくていいこととやってはいけないことを先に知っておいてほしい。
まず要るのは、電話番号を書いた迷子札、登録済みのマイクロチップ、写真の3つ。どれも高い物ではない。ほかの物は、この3つがそろってから考えればよい
能登では、避難所のポスターやチラシが返還につながったケースはなかった。貼るのはよいが、まずは3か所への連絡と、ホームページ・電話での確認を先にする
環境省の改訂案には、東日本大震災で、いったん避難した飼い主がペットを避難させるために自宅に戻り、津波に巻き込まれたケースが書かれておる。避難情報が出ているあいだは、探しに戻らん
それから、よその犬が放れているのを見かけても、ひとりで追いかけて捕まえようとせんことじゃ。 埼玉県は、放浪している犬を見かけたら、その場所を受け持つ保健所に連絡し、見かけた時間や場所、犬の特徴、首輪の有無、どの方向に向かったかを伝えるよう案内しておる。 見かけた人のこうした連絡が、どこかの飼い主の「手がかり」になるんじゃ。 東京都のセンターも、放れている犬をつかまえようとして咬まれてしまうこともあるから、無理をせず連絡してほしいと呼びかけておる。
ペットを探す人がけがをしたら、ペットは帰る家をなくしてしまう。 まず飼い主が無事でいること。それが、うちの子がいつか帰ってくるための、いちばんの備えなんじゃよ。
今日できる3つのこと
最後に、今日すぐできることを3つだけ。どれも5分で終わるぞ。
全身・顔・模様の写真と、マイクロチップの登録証明書・鑑札の写真を1つのアルバムに。家族にも共有しておく
環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトで、名前・住所・電話番号が今のものかを確認。変わっていたら届け出る
住んでいる地域の保健所・動物愛護センター・警察署の番号を、図解の余白かスマホに。収容の期間も、ホームページで見ておく
よくある質問
Q. 災害でペットが迷子になったら、どこに連絡する?
A. はぐれた場所を受け持つ保健所・動物愛護センター・警察署の3か所じゃ。拾った人が警察に届けることもあれば、自治体に引き取りを頼むこともあるから、1か所では見落とす。市や県の境目の近くなら、隣の地域の窓口にも連絡しておいてくれ。
Q. マイクロチップを入れていれば、保護されたら連絡が来る?
A. 飼い主の情報が登録されていて、連絡先が新しければ、連絡が入る。じゃが能登半島地震では、チップは入っていても登録がされておらず、飼い主が分からなかった事例があった。登録と、引っ越しや電話番号が変わったときの届出を忘れんでくれ。
Q. 保護されたペットは、いつまで預かってもらえる?
A. 自治体によって違う。たとえば東京都動物愛護相談センターは収容期限を7日間とし、問い合わせの間隔を7日以上あけないよう呼びかけておる。はぐれたら、すぐに連絡して、そのあとも間をあけずに確かめ続けることじゃ。
Q. 首輪をつけていれば、迷子になっても大丈夫?
A. 首輪だけでは足りん。環境省の記録集は、名前や連絡先が分からない首輪のみの装着は、所有明示としては不十分としておる。連絡先を書いた迷子札、犬なら鑑札と注射済票、そして登録したマイクロチップを組み合わせてくれ。
出典
- 環境省「令和6年能登半島地震における被災動物対応記録集」(令和7年9月)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」(平成30年3月)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂案(2026年6月 パブリックコメント資料)
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」
- 遺失物法(平成18年法律第73号)第4条
- 東京都動物愛護相談センター「犬、猫を逃がしてしまった飼い主の方へ」「収容動物情報について」「雷や激しい雨、花火など大きな音にご注意ください」
- 港区「ペットが迷子になったとき・迷子の動物を保護したとき」
- 埼玉県「放浪犬や野良犬を保護してほしい」
本記事は2026年10月時点の情報にもとづいています。ガイドラインの改訂版は2026年10月時点で正式公表前のため、改訂案の内容は変わる可能性があります。 連絡先、収容の期間、返還の手続き・手数料は自治体ごとに異なります。お住まいの自治体の案内をご確認ください。 避難の判断はお住まいの自治体が発表する避難情報に従ってください。ペットの体調やマイクロチップの装着については、かかりつけの獣医師にご相談ください。