ペットフードの備蓄は何日分?少なくとも5日分、できれば7日分。うちの子の量で数える方法
「ペットのごはん、どれくらい買い置きしておけばいいんじゃろう」。ひなたと暮らすわしも、最初はそう思った。 答えから言うぞ。環境省のガイドラインの目安は、フードも水も少なくとも5日分、できれば7日分以上じゃ。 療法食の子は、もっと長く。 じゃがな、「7日分」と言われても、袋で何袋なのか、水は何本なのか、ぱっとは分からん。 この記事では、うちの子の1日量から7日分を数える3ステップと、水の量、置き場所までを順番に書いていくぞ。
図解: うちの子の7日分の数え方
数え方を1枚にまとめた。印刷してフードの棚に貼っておくと、買い足すときに迷わんぞ。
結論:いつものフードを「1日量×7日」
先に答えを書いておく。ペットの食べ物の備えは、この3つを守れば十分じゃ。
ガイドラインの目安は少なくとも5日分、できれば7日分以上。5日分は最低ライン、目標は7日分と覚えておく
防災用の特別なフードではなく、ふだん食べている物を多めに。食べ慣れた物なら、いちばん確実に食べてくれる
水は人の分とは別に数える。療法食や薬は、7日分よりさらに長くを獣医師と相談する
つまり、やることは「新しい物を買いそろえる」ではない。いつもの買い物を、1袋だけ早めにすることじゃ。 袋が空になってから次を買うのをやめて、まだ残っているうちに次の袋を買っておく。それだけで、家にはいつも数日〜1週間分の余裕ができる。 お金も、ほとんど増えん。食べる量は同じなんじゃからな。
なぜ「5日分」では心細いのか
まず、国がどう書いておるかを見てみよう。環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」には、こうある。
指定避難所などにペット用の救援物資が届くまでには時間がかかることがあるため、少なくとも5日分(できれば 7 日分以上)は用意しておくとよい。特に、療法食などの特別食を必要としているペットの場合は、さらに長期間分の用意が必要である。 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」(平成30年)
「救援物資が届くまでには時間がかかる」。ここが大事なところじゃ。災害のあと、支援はまず人に向かう。 ペットの物は、どうしても後回しになりやすい。環境省が飼い主向けにまとめた冊子にも、過去の災害で実際にあった困りごととして、こんな声が並んでおる。
避難してしばらく、人の支援物資はあるが、ペットフードの支援はなかった
救援物資のペットフードを食べなくて困った
避難所にペットとともに避難したが、特定食(治療食等)の入手に苦労した 環境省「災害、あなたとペットは大丈夫? 人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」
届かない。届いても食べない。特別な食事は手に入らない。ペットの食べ物で困るのは、たいていこの3つじゃ。 令和6年の能登半島地震の記録でも、石川県に届いた支援物資のうち「対象が限定されるフード(大型犬用のドッグフード等)」は現地のニーズと合わない場合があったとまとめられておる。 支援のフードが、うちの子に合うとは限らんのじゃ。
じゃから、うちの子が食べる物は、うちで持っておく。これが基本になる。 5日分は「最低限」。道が寸断されたり、店がしばらく開かなかったりすれば、5日では足りんこともある。 無理のない範囲で、7日分を目標にしておいてくれ。
ひなたは、ごはんにうるさい。いつもと違う銘柄を出すと、においだけかいで、ぷいっと行ってしまう。 ふだんわがままな子ほど、災害のときは「いつもの」が何より大事になるんじゃよ。
数え方3ステップ:量る・かける・袋にする
では、7日分を実際に数えてみよう。台所のはかりが1つあれば、5分で終わるぞ。
ステップ1:1日量を量る
まず、うちの子が1日に食べている量を知ることからじゃ。 パッケージには体重ごとの給与量の目安が書いてあるが、実際にあげている量は家ごとに違う。 朝と晩にお皿に入れる量を、一度はかりに載せて量ってみてくれ。おやつやウェットフードをあげているなら、それも足しておく。
ステップ2:7をかける
1日量が分かったら、7をかける。たとえば1日50gの子なら、50g×7日で350g。1日200gの子なら1,400gじゃ。 ガイドラインの最低ラインの5日分なら、5をかければよい。 多頭飼いなら、1匹ずつ数えて足していく。犬と猫がいる家は、フードを分けて数えてくれ。 環境省のペットフードのガイドラインにも、犬と猫は必要な栄養素が違うから、長く互いのフードを食べさせるのはよくないと書いてある。
ステップ3:袋の数にする
最後に、7日分が「いま開けている袋のほかに、何袋あればよいか」に直す。 開けている袋は、あと何日もつか分からん。じゃから、未開封の袋だけで7日分を数えるのがコツじゃ。
ルールは「未開封をいつも1袋」。いまの袋を開けたら、すぐ次の1袋を買っておく。これで常に7日分以上が家にある
7日分になる数を数えて、その数を下回ったら買い足す。缶やパウチは数えやすいから、棚に並べて目で見て分かるようにしておく
避難するときに大袋は重い。1〜2日分を小さな袋に分けて、ペットの持ち出し袋に入れておく。残りは、落ち着いてから取りに戻ればよい
ガイドラインも、重い物や大きな物は避難の妨げになるから、いったん避難したあと、安全を確かめてから持ち出せるように、屋外の倉庫や駐車場など置き場所を工夫するよう書いておる。 全部を持って逃げようとせんでよい、ということじゃ。持ち出し袋の中身は猫の防災グッズ、本当に要るもの一覧にもまとめてある。
水は人の分とは別に数える
フードと同じくらい忘れやすいのが水じゃ。「人の水を少し分ければいい」と思っておると、すぐに足りなくなる。 人の水の目安は1人1日3Lじゃが(くわしくは防災備蓄の基本)、ペットの分は、これとは別に数えておいてくれ。
では、ペットはどれくらい水が要るのか。環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」に、体重ごとの目安の表がある。 これはフードから摂る水分も含めた、1日に必要な水分量じゃ。
3kgで約190mL、4kgで約240mL、5kgで約280mL。4kgの猫なら、7日分でおよそ1.7L
5kgで約370mL、10kgで約630mL、20kgで約1,060mL。10kgの犬なら、7日分でおよそ4.4L
ガイドラインは、実際に飲む量はフードの水分、気温、運動量でも大きく変わるとも書いておる。 ドライフードの水分はおよそ10%、ウェットフードはおよそ75%じゃから、ドライフード中心の子は、そのぶん水から多く摂ることになる。 夏場や、慣れない場所で落ち着かないときも、よく飲むものじゃ。表の量はあくまで目安にして、少し多めに見ておくと安心じゃよ。
それから、水の種類にもひとつ注意がある。同じガイドラインに、こうある。
人間用のミネラルウォーターは、マグネシウムなどのミネラルが多く含まれているものもあるため、犬や猫に与える場合は注意が必要です。 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」
備蓄用に水を買うなら、ペットにも飲ませるつもりの分は、ミネラルの多い硬水を避けて選ぶとよい。 どの水がよいか迷ったら、かかりつけの獣医師に一度聞いておくと確かじゃ。
水と一緒に忘れやすいのが器じゃ。ガイドラインの優先順位のいちばん上の欄にも、フードや水と並んで「食器」が入っておる。 避難先では、いつものお皿があるとは限らん。持ち出し袋に、フード用と水用の軽い器を1つずつ入れておいてくれ。 たたんで小さくなる器なら、場所もとらんぞ。水は、ふだん使っておる給水器が電気式なら、停電で止まることも頭に入れておくとよい。
療法食・薬・シニアの子は「もっと長く」
ガイドラインは、備蓄品の優先順位のいちばん上に「療法食、薬」を挙げておる。フードや水よりも先じゃ。 病気の治療のための食事や薬は、災害のあと手に入りにくい。切れたら、そのまま命にかかわることもあるからの。
- 療法食は「7日分よりさらに長く」。ガイドラインは「さらに長期間分の用意が必要」としておる。何日分あれば安心かは、その子の病気によって違うから、次の通院で獣医師に相談してくれ
- 薬は「手元に予備がある状態」を保つ。薬がなくなりかけてから病院へ行くのではなく、少し早めにもらいに行く。災害用に多めにもらえるかどうかも、獣医師に聞いてみるとよい
- 療法食の名前と薬の名前を、紙にも書いておく。避難先で別の病院にかかるとき、同じ物を探すときに役に立つ。スマホで袋の写真を撮っておくのも手じゃ
それから、フードの切り替えについて大事なことがある。環境省のペットフードのガイドラインは、新しいフードに替えるときは1週間くらいかけて、新しいフードの割合を少しずつ増やすよう勧めておる。 急に替えると、吐いたり、下痢をしたりすることがあるからじゃ。
災害のときに、いきなり見慣れないフードに替えるのは、まさにこの「急な切り替え」になってしまう。 じゃから、備蓄はいつものフードなんじゃ。シニア用に替えるなど、ふだんからフードを変える予定があるなら、新しいフードに慣れてから、それを備蓄に回してくれ。
一方で、ガイドラインには、支援物資はいつものフードと同じ物が手に入るとは限らないため、好き嫌いなく食べられるように日頃から備えておくことも飼い主に求められる、とも書いてある。 いつものフードを軸にしつつ、ふだんからときどき別のフードやおやつを少し試しておくと、いざというとき選べる物が増える。 どこまで試してよいかは、持病のある子なら獣医師と相談してからにしてくれ。
もうひとつ。ステップ1で量った1日量は、紙に書いてフードの袋のそばに貼っておくとよい。 親戚や動物病院に預けることになったとき、「この子は1日に何gを何回」がすぐ伝えられる。 療法食の名前、薬の名前と飲ませ方も、同じ紙に書いておけば1枚で済む。預ける相手は、その紙がいちばん助かるんじゃ。
置き場所とローリングストック
数がそろったら、次はどこに、どう置くかじゃ。 環境省が検討しておるガイドラインの改訂案には、はっきりこう書かれておる。
備蓄品はローリングストック方式で備蓄するようにし、優先順位を付け、優先度の高いものは避難時にすぐに持ち出せるようにし、人の避難用品とともに保管する。 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂案(2026年6月 パブリックコメント資料)
ローリングストックとは、ふだん使う物を少し多めに置いて、古い物から使い、使ったぶんを買い足すやり方じゃ。 人の食べ物でのやり方はローリングストックとは?に書いたが、ペットフードでも同じことができる。
買ってきた袋は棚の奥へ。使うのは手前から。これだけで、賞味期限切れはほとんど起きん
犬と猫のフードには、ペットフード安全法で賞味期限の表示が義務づけられておる。棚に並べるとき、期限が見える向きに置いておく
未開封の袋も、日の当たらない、温度変化の少ない場所へ。保存の条件が悪いと、期限内でも品質が落ちることがある
環境省のペットフードのガイドラインには、保存のしかたも書いてある。要点だけ抜き出しておくぞ。
- 開けたドライフードは、袋の封をしっかりして、直射日光が当たらず、温度や湿度が低い場所で常温で。開けたら、なるべく早く使い切る
- ドライフードを冷蔵庫に入れない。出し入れのときに表面に結露ができて、カビの原因になることがあるからじゃ
- 開けた缶詰・パウチは、別の容器に移して冷蔵庫へ入れ、できるだけその日のうちに使い切る。災害で停電しているときは、1回で食べきれる小さい缶やパウチのほうが無駄が出にくい
同じガイドラインは、犬や猫の大きさに合ったサイズの製品を選ぶようにも書いておる。 安いからと大袋を買うと、開けてから食べ終わるまでが長くなる。開けたら早めに使い切れる大きさを選んで、未開封をもう1袋置いておく。 こうしておけば、フードの品質を落とさずに7日分を置いておけるんじゃ。
間違えやすい3つ
開けた袋は、あと何日もつか分からん。未開封だけで7日分と数えておくと、いつ災害が来ても足りる
人の水は、人だけで精いっぱいになる。ペットの水は別に、体重に合わせて数えておく
ガイドラインは療法食について「さらに長期間分」としておる。日数は獣医師と相談して決める
買わなくていい物・やらなくていいこと
ここまで読んで、「あれもこれも買わんと」と思わんでくれ。買わなくていい物を知っておくと、備えはぐっと楽になるぞ。
食べ慣れていないフードは、災害のときに食べてくれんことがある。いつものフードを1袋多くで十分じゃ
目標は7日分(療法食は獣医師と相談した日数)。大量に買うと、古い袋が残って品質が落ちる。回すことのほうが大事じゃ
持ち出すのは1〜2日分の小分けだけ。残りは家に置いておき、安全を確かめてから取りに戻ればよい
備えというと、つい「防災グッズ」を探しに行きたくなる。じゃが、ペットのごはんの備えはいつもの買い物の延長でできる。 買うタイミングを、ほんの少し早めるだけ。それでええんじゃ。
今日できる3つのこと
最後に、今日すぐできることを3つだけ。どれも5分で終わるぞ。
朝と晩のお皿をはかりに載せる。出た数字×7が、うちの子の7日分じゃ。図解の余白に書き込んでおくとよい
未開封だけで7日分に届かなければ、次の買い物で1袋多く。袋は棚の奥へ
体重の目安から7日分を出して、人の水とは別の場所にまとめる。療法食の子は、次の通院で日数を相談する
離れて暮らす親がペットを飼っているなら、この数え方で親の家のフードも数えてあげてほしい。 重いフードや水を、子どもが1袋多く送るだけで、親の備えはぐっと進む。親とペットの備え全体は親が飼っている犬猫の防災|離れて暮らす家族ができることにまとめてあるぞ。
よくある質問
Q. ペットフードの備蓄は何日分あればいい?
A. 環境省のガイドラインの目安は少なくとも5日分、できれば7日分以上じゃ。療法食などの特別食が必要な子は、さらに長い期間分を用意しておく。何日分あればよいかは、かかりつけの獣医師と相談して決めてくれ。
Q. ペットの水の備蓄は、どれくらい必要?
A. 環境省の目安では、1日に必要な水分量(フードから摂る水分を含む)は4kgの猫で約240mL、10kgの犬で約630mL。7日分なら、猫でおよそ1.7L、犬でおよそ4.4Lじゃ。気温や運動量、フードの種類で変わるから、少し多めに見ておくと安心じゃよ。
Q. 防災用に、いつもと違うフードを買っておくべき?
A. いや、いつものフードを多めにが基本じゃ。急にフードを替えると、食べなかったり、おなかをこわしたりすることがある。古い袋から使って買い足すローリングストックにしておけば、期限切れの心配も少ないぞ。
Q. 開封したドライフードは冷蔵庫に入れたほうがいい?
A. 環境省のガイドラインでは、開けたドライフードは封をしっかりして、直射日光が当たらず温度や湿度の低い場所で常温保存としておる。冷蔵庫は出し入れのときに結露ができて、カビの原因になることがあるからじゃ。開けたら、なるべく早く使い切ってくれ。
出典
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」(平成30年3月)
- 環境省「災害、あなたとペットは大丈夫? 人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」(平成30年9月)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂案(2026年6月 パブリックコメント資料)
- 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン〜犬・猫の健康を守るために〜」
- 環境省「令和6年能登半島地震における被災動物対応記録集」(令和7年9月)
- 環境省「ペットフード安全法の概要」
本記事は2026年10月時点の情報にもとづいています。ガイドラインの改訂版は2026年10月時点で正式公表前のため、改訂案の内容は変わる可能性があります。 水分量は健康な成犬・成猫の目安で、実際の量は体格・年齢・フードの種類・気温などで変わります。 療法食や薬の備え、フードの切り替えについては、かかりつけの獣医師にご相談ください。