実家の消火器、使用期限は何年?住宅用はおおむね5年【古い消火器の捨て方と使い方】
親の家に、消火器はあるかの。あるなら、それはいつ買った物じゃろう。 日本消火器工業会によると、住宅用消火器の使用期限はおおむね5年。期限を過ぎた消火器は、破裂して人がけがをする危険があるそうじゃ。 消防庁によると、令和7年に住宅の火事で亡くなった人(放火自殺者等を除く)は970人。そのうち65歳以上が730人、約4人に3人じゃった。 この記事では親の家の消火器の期限の見方、点検、置き場所、使い方、古い消火器の捨て方を、消防庁や日本消火器工業会の資料をもとにまとめた。11月9日からは秋季全国火災予防運動。年末の帰省の前に、電話で一度たずねてみてくれ。
図解: 親の家の消火器 3つのチェック
親に伝えたいことを1枚にまとめた。電話で読み上げて、親と一緒に確かめてくれ。
結論:期限・傷み・置き場所の3つを見る
先に答えを言うぞ。親の家の消火器で見てほしいのは、この3つじゃ。
住宅用はおおむね5年。本体に書いてある期限を確かめる
サビ・キズ・へこみがあれば、期限の前でも使わずに交換する
玄関や台所の入口など、すぐ取り出せる所に置く
消火器がない家なら、住宅用消火器を1本そなえるところから始めればよい。古い物が残っている家なら、まず期限と傷みを見て、使えない物は正しい方法で処分する。
どれも、帰省のついでに10分あれば確かめられる。いちばん大事なのは、傷んだ消火器を「まだ使えるはず」と思いこまないことじゃ。
なぜ親の家の消火器を見ておきたいのか
消防庁がまとめた令和7年の火災の数字(概数)を見てみよう。
住宅の火事で亡くなる人の4人に3人が高齢者
令和7年の住宅火災は1万1,929件。住宅の火事で亡くなった人(放火自殺者等を除く)は970人で、そのうち65歳以上は730人、75.3%じゃった。970人のうち逃げ遅れで亡くなった人は403人おる。
年をとると、火に気づくのも逃げるのも、どうしても遅くなりがちじゃ。だからこそ、火が小さいうちに消す道具と、逃げる判断の両方をそなえておきたい。
家にある消火器が、使えるとは限らない
消火器は置いておけばずっと使える道具ではない。日本消火器工業会は、使用期限を過ぎた消火器は破裂による人身事故の危険があると呼びかけておる。消防庁も、腐食が進んだ消火器を操作して破裂し、けがをする事故が起きていると注意しておる。
親の家には、何十年も前に買った消火器が物置や廊下のすみに置いたままになっていることがある。いざというときに使えないだけでなく、持ち上げたりレバーを握ったりした拍子にけがをすることもありうるんじゃ。
秋の火災予防運動は11月9日から
令和8年の秋季全国火災予防運動は11月9日(月)から15日(日)までの7日間。2026年度の全国統一防火標語は『火の確認 いい日を支える いい習慣』じゃ。住宅の火災警報器の点検とあわせて、消火器も見直すよい時期じゃな。警報器の点検については実家の火災警報器、10年たったら交換?にまとめておる。
チェック1:使用期限を見る
まず見るのは、使用期限じゃ。日本消火器工業会によると、消火器は材質や安全率などをもとに使用期限が決められていて、本体に表示してある。
使用期限はおおむね5年。薬剤の詰め替えができないつくり
「設計標準使用期限」と表示され、おおむね10年
本体のラベルで確かめる
期限は本体のラベルに書いてある。字が小さくて親には読みにくいこともあるから、帰省したら家族が読んであげるとよい。電話で聞くなら、「消火器の横か裏に、使用期限か年が書いてある?」とたずねてみてくれ。
家庭に業務用の消火器を置いていることもある。どちらの種類かわからなければ、ラベルの表示を写真に撮って、購入した店やメーカーにお問い合わせください。
期限が切れていたら、新しい物にかえる
住宅用消火器は、業務用のように薬剤の詰め替えや内部の点検をしなくてよい。そのかわり、使用期限があるから定期的な交換が必要じゃ。消防庁も、期限が切れたものは新しいものと交換するよう呼びかけておる。
買った年をラベルの近くに大きな字で書いた紙を貼っておくと、次の交換の時期がひと目でわかるぞ。
チェック2:サビやへこみがないか見る
期限の前でも、安心はできん。日本消火器工業会は、腐食、キズ、変形などがみられる消火器は、使用期限に達していなくても直ちに交換するよう呼びかけておる。
見るところは、この6つ
消防庁の防災・危機管理eカレッジには、消火器の点検の項目がのっておる。
- 使用期限は過ぎていないか
- 安全ピンは付いているか
- キャップはゆるんでいないか
- 容器にサビや変形はないか
- ホースに詰まりやヒビ割れはないか
- 圧力ゲージがあるものは、針が決められた範囲にあるか
傷んでいたら、絶対に使わない
消防庁は、腐食が進んだ消火器は絶対に使用せず、レバーを握ったり、衝撃を与えたりしないよう注意しておる。とくに腐食が進んだ加圧式の消火器は、容器が破裂する危険が大きいそうじゃ。
点検するときは、持ち上げてひっくり返すより、置いたまま目で見るのが安心じゃ。底のサビは見落としやすいから、懐中電灯で照らしてのぞいてみてくれ。
高温や湿気の多い所、潮風の当たる所では、期限の前でも操作に支障が出ることがある。海に近い家や、屋外の物置に置いている家は、とくに気をつけて見てほしい。
異常を見つけた消火器や、いらなくなった消火器の点検・処分は、購入した店か消火器メーカーにたずねるよう、消防庁は案内しておる。
チェック3:置き場所を決める
消火器は、あることを家族全員が知っていて、すぐ取り出せるからこそ役に立つ。eカレッジでは、置き場所の例として次のような所をあげておる。
- 人目につきやすい玄関
- 階段の近くのじゃまにならない所や、踊り場
- 居間や寝室の目につきやすい所
- 台所の入口など、火の気の近い所
いっぽうで、風呂場や洗面所など湿気の多い所は避けるようにとある。サビの原因になるからじゃな。
コンロのすぐ横より「台所の入口」
コンロの真横に置くと、火が出たときに火の向こう側になってしまうことがある。台所の入口のように、逃げ道の側から取りに行ける場所がよいぞ。
親の手が届く高さに
高い棚の上や、物の奥にしまいこむと、とっさに出せん。腰をかがめずに持てる高さで、前に物を置かないようにしておこう。寝室が2階なら、寝ている部屋の近くにもう1本という考え方もある。
いざというときの使い方
使い方は3つの動作だけじゃ。消防庁の住宅防火のページや東京消防庁の案内をもとに書いておく。
- 黄色の安全ピンを引き抜く
- ホースを外し、ノズルを燃えている物に向ける。ホースは先端を持つ
- レバーを強く握って放射する
運ぶ前にピンを抜かない
東京消防庁は、運ぶ前に安全ピンを抜いてしまわないよう注意しておる。eカレッジによると、消火器は火の近くまで運び、おおむね7〜8メートルまで近づいてから操作する。運んでいる間にうっかり出してしまうと、着いたときには空になっていることもあるからじゃ。重い消火器なら、置いたままレバーを握る方法もある。
炎ではなく、燃えている物をねらう
東京消防庁は、ノズルを炎ではなく燃えている物へ向けるよう案内しておる。eカレッジでも、火の根元をねらって、手前からほうきで掃くように放射するとある。外なら風上から、部屋の中なら逃げ道を確保して出入り口を背にするんじゃ。
天井に火が届いたら、すぐ逃げる
消火器で消せるのは、天井に火が回るまでと言われておる。東京消防庁は、炎が天井まで届いているときは、消火器を使わずに避難するよう呼びかけておる。大きな声で周りに知らせて、119番じゃ。
天ぷら油の火には、水をかけない
天ぷら油の火は、近づきすぎると薬剤の勢いで油が飛び散ることがある。eカレッジでは、4〜5メートルほど離れた所から放射して、少しずつ近づくようにとある。水をかけるのは絶対にやめる。油が飛び散って火が広がり、やけどのおそれがあるからじゃ。
粉末の消火器は冷やす力が弱く、消えたように見えてもまた燃えだすことがある。薬剤はすべて出し切り、コンロを消したあともふたなどで空気をさえぎっておこう。
火を消すことより、逃げることが先の場面もある。「天井に届いたら逃げる」。これを親とも約束しておいてくれ。
買いかえるなら、住宅用消火器の選び方
家庭で使うなら、住宅用消火器が向いておる。消防庁によると、次のような特徴がある。
- 軽く、女性やお年寄りでも使いやすい。ホースのない物もある
- 薬剤の詰め替えや内部の点検がいらない(期限が来たら交換)
- どの火事に使えるかが絵で表示されている
- 蓄圧式なので、破裂する心配はほとんどない
粉末タイプと強化液タイプ
消防庁のページでは、薬剤のちがいで2つのタイプを紹介しておる。粉末タイプは粉が広い範囲を覆って火の勢いを抑える。強化液タイプは霧状に出る水系の薬剤で、冷やす力としみこむ力にすぐれ、布団の火事や天ぷら油の火事に効果的じゃという。
東京消防庁の資料でも、強化液はかかった所が再燃しにくいとある。台所の火が心配な家、寝たばこや暖房器具の火が心配な家は、絵表示を見て、その家で起こりそうな火事に合う物を選んでくれ。
エアゾール式簡易消火具は「補助」
スプレー缶のようなエアゾール式簡易消火具もある。小さく軽く、お年寄りにも使いやすい。じゃが消防庁は、これを補助的な役割のもので、消火器の代わりにはならないとしておる。台所に1本足しておく、という使い方がよいじゃろう。
どの商品がよいか迷ったら、絵表示と重さを見て、親が片手で持てるかを店で試してみるとよいぞ。
古い消火器の捨て方
消火器は、ふつうのごみとしては出せない。東京消防庁も、区市町村のごみ収集では集めていないと案内しておる。消防庁のページでは、捨て方として次の3つが紹介されておる。
消火器の販売店など。引き取りに来てもらうことも、持ちこむこともできる
消火器メーカーの営業所など
電話(0120-822-306)で申しこむと、伝票と専用の箱が届く
リサイクルシールを見る
消火器リサイクル推進センターによると、2010年以降に作られた消火器には、リサイクルシールが貼られて出荷されておる。2009年以前に作られた物にはシールがなく、捨てるときはシールを買って貼る必要がある。シールがないと引き取ってもらえんのじゃ。
費用は、窓口に問い合わせる
引き取りに来てもらうときは、シール代のほかに収集運搬費などがかかる。持ちこむ場合も、保管費などがかかることがある。金額は窓口ごとにちがうので、近くのリサイクル窓口にお問い合わせください。窓口は消火器リサイクル推進センターのホームページで探せるぞ。
運ぶときは、安全栓をテープで止める
消防庁は、消火器を運ぶときは安全栓が正しくセットされているかを確かめ、なければテープで固定するなどして、薬剤が飛び散らないようにするよう呼びかけておる。腐食が進んだ物は、自分で動かさず、窓口に相談するのが安心じゃ。
東京消防庁によると、消防署では消火器の販売も回収もしておらん。「消防署に持っていけばよい」と思っている親もおるから、伝えておいてくれ。
訪問販売に気をつける
消火器の話になると、気をつけたいのが訪問販売じゃ。政府広報オンラインによると、消防職員や市町村職員などを装って家を訪ね、法外な値段で販売する悪質な手口が報告されておる。
- 消防署や市町村の職員が、家を回って消火器を売ることはない
- 特定の業者に販売を任せることもない
- 訪問販売で買った場合は、契約日を含む8日間以内なら解除できる場合がある(クーリング・オフ)
- 困ったら、消費者ホットライン188へ
「消防署の方から来ました」と言われると、親は断りにくいものじゃ。その場で買わない、家族に電話してから決める。これだけ約束しておけばよい。訪問販売の手口は火災警報器の記事でもくわしく紹介しておる。
離れて暮らす親のためにできること
離れて暮らしていても、電話で聞けることは多い。次のように聞いてみてくれ。
- 家に消火器はあるか。あるならどこに置いてあるか
- いつごろ買ったか。本体に期限は書いてあるか
- サビやへこみはないか
- 使い方を知っているか
- 最近、家に来た人から消火器を買っていないか
年末の帰省で、一緒に見る
電話ではわからんことも、目で見ればすぐわかる。帰省したら、消火器を一緒に探して、期限と傷みを確かめよう。古い物があれば、処分の申しこみまでその場ですませてしまうと、あとまわしにならずにすむ。
使い方を、一度口に出して練習する
本物の消火器でピンを抜く練習はせんでよい。「ピン、ホース、レバー」と口に出しながら、手の動きだけまねしてもらおう。地域の防災訓練で、訓練用の消火器をさわれる機会があれば、親子で参加するのもよいな。
買ってあげるなら、使用期限の年をカレンダーや防災カルテに書いておくと、5年後に思い出せるぞ。
間違えやすい3つ
住宅用の使用期限はおおむね5年。期限を過ぎたら交換する
ふつうのごみでは出せない。特定窓口・指定引取場所・ゆうパックで
ねらうのは燃えている物。手前から掃くように放射する
やらなくていいこと・やってはいけないこと
消火器は正しく置いておけば心強い道具じゃ。むずかしく考えすぎんように、分けておこう。
住宅用は詰め替えや内部の点検がいらない。期限と見た目を確かめれば十分じゃ
手の動きをまねするだけでよい。訓練用は地域の訓練で
サビやへこみがある物は、レバーを握らず、衝撃も与えない
もうひとつ、天井まで火が届いているのに消そうとするのもやめておこう。そのときは消火器を置いて、すぐに逃げるんじゃ。
消火器はあるだけで安心しない。期限と置き場所を、年に一度は思い出してやってくれ。
今日できる3つのこと
最後に、今日すぐできることを3つだけ。電話1本で始められるぞ。
あるなら置き場所と買った年を聞く。なければ住宅用を1本そなえる
ラベルの期限と、サビ・へこみを見てもらう
「ピン、ホース、レバー」と、天井に届いたら逃げることを伝える
よくある質問
Q. 住宅用消火器の使用期限は何年?
A. 日本消火器工業会によると、住宅用消火器の使用期限はおおむね5年じゃ。業務用は「設計標準使用期限」としておおむね10年。期限は本体に表示されておる。
Q. 古い消火器はどうやって捨てればいい?
A. 消火器はふつうのごみでは出せない。消防庁は、特定窓口(販売店など)に頼む、指定引取場所に持ちこむ、ゆうパックで送る(0120-822-306)の3つを紹介しておる。費用は窓口にお問い合わせください。
Q. サビた消火器は使っても大丈夫?
A. 使ってはいけない。消防庁は、腐食が進んだ消火器は絶対に使用せず、レバーを握ったり衝撃を与えたりしないよう注意しておる。期限の前でも、サビ・キズ・へこみがあれば交換じゃ。
Q. 消防署で消火器を買ったり引き取ってもらったりできる?
A. できない。東京消防庁によると、消防署では消火器の販売も回収もしておらん。消防署の名前を出して売りに来る人には注意じゃ。
出典
- 総務省消防庁「住宅用消火器」(住宅防火情報)
- 一般社団法人日本消火器工業会「消火器の使用期限」
- 総務省消防庁「老朽化した消火器の取扱いについて」
- 株式会社消火器リサイクル推進センター「リサイクルの流れ」
- 総務省消防庁 防災・危機管理eカレッジ「消火器の使い方」
- 東京消防庁「消火器について」(よくある質問)/「消火器の使い方」(防火防災訓練の手引き)
- 総務省消防庁「令和7年(1月〜12月)における火災の状況(概数)」(令和8年5月28日)
- 総務省消防庁「令和8年秋季全国火災予防運動の実施について」
- 政府広報オンライン「住宅火災から命を守る10のポイント」
本記事は2026年11月時点の情報にもとづいています。火災の数字は令和7年の概数です。消火器の点検・処分の方法や費用は、購入した店、消火器メーカー、消火器リサイクル推進センターの窓口でご確認ください。火事のときは、まず大声で知らせて119番通報してください。