コラム — 親の防災 公開: 2026/07/20

補聴器・老眼鏡・持病の薬普通のリストに載らない、シニア特有の持ち出し品

非常持ち出し袋のリストは世の中にたくさんある。水、懐中電灯、ラジオ——どれも大事じゃ。 じゃがな、避難所で本当に困るのは、実はそういう「みんなに配られるもの」ではないんじゃよ。 老眼鏡がなければ配布物の説明が読めん。補聴器の電池が切れたら案内放送が聞こえん。薬が切れたら体調そのものが崩れる。 「その人にしか要らないもの」は、避難所では誰も配ってくれん。 この記事では、シニア特有の持ち出し品を4つのポケットに分けて、今日できる準備まで紹介するぞ。

なぜ「普通のリスト」では足りないのか

避難所に届く支援物資は、水・食料・毛布といった「みんなが使うもの」が中心じゃ。 裏を返せば、老眼鏡の度数、補聴器の電池の型番、あなたの持病の薬——こういう「個人仕様のもの」は、待っていても届かんということ。 しかも代わりがきかんから、忘れた時の困り方が段違いなんじゃ。

基本の持ち出し袋は非常持ち出し袋リストの記事印刷用チェックリスト(無料PDF)で整えてもらうとして、 この記事では、その袋に追加する「シニア特有の4ポケット」に絞って話すぞ。

図解: シニア特有の持ち出し品

全体はこの1枚じゃ。印刷して、持ち出し袋のそばに貼っておくのもええぞ。

シニア特有の持ち出し品の図解。目・耳・歯: 老眼鏡の予備、補聴器と予備電池、入れ歯とケースと洗浄剤。薬と医療情報: 持病の薬3日〜1週間分、お薬手帳またはコピー、保険証・受給者証のコピー。体を支えるもの: 折りたたみ杖、携帯トイレ・尿とりパッド、使い捨てカイロや冷感タオル。伝える・心を支える: 笛、筆談用のメモとペン、家族の写真。合言葉は目・耳・歯・薬

ポケット1: 目・耳・歯

避難生活で一番効いてくるのに、一番忘れられやすいのがこの3つじゃ。 どれも「情報が入ってくるかどうか」「ご飯が食べられるかどうか」に直結する。

そなえじぃが透明なジッパー付き小袋に予備の老眼鏡・ボタン電池・入れ歯ケースを入れている。ひなたちゃんがテーブルの上から袋の中を興味津々でのぞきこんでいる
老眼鏡の予備

避難所の掲示物、配布物の説明、給水の案内——ぜんぶ「読めること」が前提で回っておる。普段の眼鏡は枕元、予備は持ち出し袋。予備は100円ショップの老眼鏡でも十分じゃ

補聴器と予備の電池

避難所の連絡は放送と口頭が中心。電池が切れた補聴器はただの耳栓じゃ。未開封の空気電池を数パック、袋に入れておく。充電式の方は携帯充電器と充電ケーブルを忘れずに

入れ歯・ケース・洗浄剤

意外な盲点がこれ。避難所では外した入れ歯の置き場も洗う場所も困る。ケースと洗浄剤、あれば歯間ブラシまで小袋にまとめておくと、口の中の清潔が保てる。口腔ケアは避難生活での肺炎予防にもつながる大事な備えじゃよ

ポケット2: 薬と医療情報

4つのポケットの中で、命に一番近いのがここじゃ。

そなえじぃがテーブルに開いたお薬手帳をスマホで撮影している。そばに薬の袋。ひなたちゃんは椅子の上からスマホを見上げている
持病の薬 3日〜1週間分

災害直後は病院も薬局も混乱して、すぐには処方を受けられん。やり方は簡単、薬をもらったら最初の3日分を持ち出し袋へ、袋に入っていた古い分から先に飲む。これで袋の中は常に新しい薬になる。「薬のローリングストック」じゃ

お薬手帳(またはコピー・写真)

薬の名前と量が分かれば、避難先の救護所でも同じ薬を続けてもらいやすい。手帳そのものが無理なら、中身をスマホで撮影して、家族にも送っておく。これだけで家族が代わりに伝えられる

保険証・受給者証のコピー

原本は普段の財布に、コピーを袋に。災害時はコピーや口頭でも受診できる運用になることが多いが、あれば手続きが早い

ポケット3: 体を支えるもの

杖(折りたたみ式が便利)

普段は杖なしで歩ける方も、がれきや段差のある道・体育館の床では話が別じゃ。折りたたみ式なら袋に入る

携帯トイレ・尿とりパッド

「トイレが心配だから避難したくない」——これが避難をためらう一番の理由じゃ。携帯トイレが数個あるだけで、その不安がぐっと軽くなる。必要な方は大人用紙パンツも遠慮なく入れておく。使う使わんは後で決めればええ

使い捨てカイロ・冷感タオル

歳を重ねると暑さ寒さの調節が苦手になる。体育館は冬は底冷えし、夏は蒸す。カイロ数枚と濡らして使う冷感タオルで、体力の消耗がまるで違う

ポケット4: 伝える・心を支えるもの

笛(ホイッスル)

閉じ込められた時、大声を出し続けるのは体力的に無理がある。笛なら小さな息で遠くまで届く。持ち出し袋だけでなく、枕元にもひとつじゃ

筆談用のメモとペン

騒がしい避難所では、耳が遠いと会話がつらい。書いて見せれば確実に伝わるし、伝言メモにも使える。油性ペンなら手や物にも書ける

家族の写真

不安な夜の心の支えになる。それだけでなく、万一はぐれた時に「この人を探しています」と見せられる、実用品でもあるんじゃ

そなえじぃ

紙パンツや携帯トイレをな、「まだそんな歳じゃない」と袋に入れん人が多いんじゃ。 じゃがの、備えは「使う宣言」ではない。傘を持って出ても、雨が降らなきゃ差さんのと同じじゃよ。

今日できる3つの準備

全部を一度にやらんでいい。今日はこの3つだけ、10分あれば終わるぞ。

① お薬手帳をスマホで撮る

撮ったら家族のLINEに送る。離れて暮らす家族がやるなら、次の帰省や電話のときに「手帳の写真を送って」とお願いする。これが一番効果の大きい1分じゃ

② 眼鏡・電池・入れ歯セットを袋へ

予備の老眼鏡、補聴器の電池、入れ歯ケースと洗浄剤。家にあるものをジッパー付きの小袋にまとめて、持ち出し袋に入れるだけ

③ 次に薬をもらう日に「3日分」を始める

次の受診日から、もらった薬の最初の3日分を袋へ。カレンダーやお薬カレンダーに「袋の薬を入れ替え」とメモしておくと忘れんぞ

壁のカレンダーに赤丸がついた部屋で、そなえじぃがオレンジ色の避難リュックに薬の小袋を入れている。ひなたちゃんはリュックのふちに前足をかけて手伝うそぶり

離れて暮らす親のために準備するなら、親に送る防災セットの記事と、 言い出し方に迷ったらけんかにならない伝え方の記事もあわせてどうぞ。

よくある質問

Q. 持病の薬は何日分持ち出せばいい?

A. 最低3日分、できれば1週間分じゃ。災害直後は病院も薬局も混乱して、処方までに時間がかかる。「もらったら最初の3日分を袋へ、古い分から飲む」の薬ローリングストックなら、袋の中がいつも新しい薬になるぞ。

Q. お薬手帳を持ち出せなかったら?

A. 薬の名前と量が分からんと、同じ薬を続けてもらうのに時間がかかる。じゃから平時に中身をスマホで撮って、家族にも送っておく。本人が持ち出せんでも、家族のスマホに残っていれば救護所で伝えられるんじゃ。

Q. 補聴器の電池はどれくらい備える?

A. 空気電池は使い始めると数日〜2週間ほどで切れるものが多い。未開封の予備を数パック袋に入れ、9月1日の防災の日など年1〜2回、使用推奨期限を確認して入れ替えるとええぞ。