コラム — 家の安全 公開: 2026/08/20

携帯トイレは何回分いる?1人1日5回。数え方と、使ったあとの行き先まで

水と非常食はそろえた。でもトイレは、なんとなく1箱だけ——という家は多い。 じゃがな、1日の排泄は1人5回が目安じゃ。2人暮らしで1週間なら70回分になる。 1箱ではまるで足りん。 この記事では、わが家に必要な回数の数え方と、 買うときに数を間違えやすいところ、そして使ったあとをどうするかまで書いていくぞ。 最後のところは、あまり語られておらんが、実際にいちばん困る話じゃ。

図解: わが家の携帯トイレ、何回分?

結論を1枚にまとめた。人数別の必要回数と、使ったあとの流れじゃ。 印刷して買い物メモの裏にでも貼っておくと、売り場で数に迷わずに済むぞ。

携帯トイレの必要回数の図解。数え方は1人1日5回×家族の人数×日数。3日分なら1人15回分、2人30回分、3人45回分、4人60回分。7日分なら1人35回分、2人70回分、3人105回分、4人140回分。経済産業省は1人35回分(7日分)を推奨。買うときの注意は、本体の数ではなく凝固剤と袋の回数で数える、箱に購入年と期限を書く、高温多湿を避けて分散して置く。使用済みの流れは、凝固剤で固める、袋の口を縛る、二重袋にしてふた付き容器へ、直射日光の当たらない風通しのよい場所で保管、収集が再開したら自治体の指示に従って出す。

水が出ても、流してはいかん場合がある

最初に、多くの人が誤解しているところから。 トイレが使えなくなる理由は、断水だけではない。神奈川県はこう書いておる。

断水や停電、排水管や下水道の損傷など、様々な事情によりトイレが使えなくなる可能性があります。集合住宅において、排水管の損傷に気付かずトイレを使用すると、下の階で汚水が溢れる恐れがあります。 神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」

ここが肝心でな。水が出るかどうかと、流した水がちゃんと下水まで行くかどうかは別の話なんじゃ。 地震で配管が折れておれば、流した先は下の階の天井じゃ。 しかも、その損傷は蛇口をひねっただけでは分からん。 だから確認が取れるまでは流さない。これが原則になる。

もうひとつ、見落とされがちな危険がある。我慢のほうじゃ。

トイレの使用を避けるために、排泄を我慢することが、水分や食事の摂取を控えることに繋がり、体調不良やエコノミークラス症候群などの健康被害を引き起こす恐れがあります。 神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」

トイレが不安だから水を飲まない。飲まないから血が固まりやすくなる。 携帯トイレは、水を安心して飲むための備えでもあるわけじゃ。 非常食や保存水をそろえても、トイレがなければその水は飲まれずに残る。そういう関係になっておる。

そなえじぃ

お風呂の残り湯で流せばよい、という話をよく聞くじゃろう。 あれは下水道の無事が確認できてからの手じゃ。 順番を逆にすると、自分の家では済まなくなる。 残り湯は捨てずに取っておく、でも流すのは確認してから。この2つは両立するぞ。

答え:5回 × 人数 × 日数で数える

さて本題の数え方じゃ。使う数字はひとつだけでよい。

1日の排泄の平均回数は1人5回と言われています。携帯トイレは最低3日分、可能であれば7日分を備蓄しましょう。 神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」

5回 × 家族の人数 × 日数。これだけじゃ。 経済産業省も「1人あたり35回分(7日分)」と、同じ計算の答えを出しておる。 人数ごとに並べると、こうなる。

1人暮らし|3日分15回 / 7日分35回

まずは15回分から。市販の携帯トイレは15回分や20回分のセットが多いから、1箱でひとまず3日分に届く。そこから同じ物をもう1箱足せば、7日分がほぼ見えてくる

2人暮らし|3日分30回 / 7日分70回

高齢のご夫婦二人の家はここじゃな。70回分と聞くと多く感じるが、1回分は手のひらほどの袋。段ボール1箱に収まる量じゃよ

3人家族|3日分45回 / 7日分105回

この人数からは、置き場所を1か所に決めないほうがよい。トイレのそばと押し入れに分けておくと、片方が取り出せなくなっても困らん

4人家族|3日分60回 / 7日分140回

140回分。数字だけ見ると気が遠くなるが、一度に買う必要はない。3日分の60回をそろえたら、あとは月に1箱ずつ足していけばよい

回数の目安に幅を持たせたいなら、少し多めに見ておくとよい。 体調を崩せば回数は増えるし、来客がそのまま泊まることもある。 3日分を下限、7日分を目標——この2段構えで考えるのが現実的じゃ。

そなえじぃが床に座り、携帯トイレの個包装の袋を5枚ずつ数えて並べている。かたわらには開いた段ボール箱が2つと、メモ用紙と鉛筆が置かれている。ひなたちゃんが並べた袋の列の先に座って、そなえじぃの手元を見ている。
5回 × 人数 × 日数。紙に書き出すと、必要な数がはっきりする。

買うときに数を間違える3つのところ

回数が決まっても、売り場でつまずくことがある。 数え方の勘違いが起きやすいのは、だいたい次の3つじゃ。

  • 本体の数ではなく、凝固剤と袋の回数で数える
    便座に置く本体(簡易トイレ)は家に1つあれば足りる。何回分になるかを決めるのは、あとから足せる凝固剤と排便袋のほうじゃ。本体を人数分そろえる必要はない。ここを取り違えると、高い買い物になってしまう
  • 「〇回分」の中身を確かめる
    凝固剤だけが入っていて、袋が別売りという商品もある。袋がなければ回数として数えられん。凝固剤・排便袋・持ち運び用の外袋が1回分としてそろっているか、箱の裏で確かめるとよい
  • 期限は箱に自分で書く
    凝固剤には10年から15年もつ物もあると神奈川県も書いておるが、製品によってまちまちでな。買った日に、箱の見えるところへ購入年と期限を大きく書いておく。10年後の自分には、その一手間しか届けられん

置き場所も、買うときに一緒に決めてしまうとよい。 高温多湿は凝固剤の苦手なところじゃから、物置や車の中よりは、家の中の押し入れのほうが向いておる。 そして先ほど書いたとおり、2か所に分ける。家具が倒れて片方が取り出せなくなることは、実際に起きるでな。 倒れる家具のほうを先に減らしておきたいなら、 家具の固定、賃貸でもできる方法もあわせて読んでみてくれ。

製品そのものの選び方——ふだんから使える形にしておく考え方については、 災害時のトイレ、どうする?フェーズフリーという考え方に詳しく書いてある。 数を決めるのがこの記事、物を決めるのがあちら、という役割分担じゃ。

使ったあと、どこへ持っていくのか

ここからが、あまり書かれておらん話じゃ。 携帯トイレは、使ったら終わりではない。 4人家族で7日を過ごせば、使用済みの袋が140個できる。それが家の中に残る。

しかも災害のあとは、ごみの収集そのものが止まることがある。 道路が通れなければ収集車は来られんし、処理場が被災していることもある。 つまり数日から、場合によっては数週間、自宅で保管する前提で考えておく必要があるわけじゃな。 備蓄の話ばかりが語られて、この出口の話が抜けておるのが、わしはずっと気になっておった。

① しっかり固めてから縛る

凝固剤は水分を固めることで臭いと漏れを抑えるもの。固まりきる前に縛ると、あとで袋の中で動いて漏れる。少し待ってから、空気を抜いて口をきつく縛る

② 二重にして、ふた付きの容器へ

縛った袋をもう1枚の袋に入れる。そのうえで、ふたのできる容器やごみ箱にまとめる。臭いは袋1枚では抜けてくる。ペット用の消臭袋があるなら、それが一番よく効く

③ 直射日光を避け、風通しのよい場所に

保管場所は日の当たらない、風の通るところ。ベランダの日陰や玄関の外側などが向く。暑い場所に置くと臭いも虫も出やすくなる。夏場はとくに効いてくる

④ 収集が戻ったら、自治体の案内に従う

ふだんは可燃ごみとする自治体が多いが、災害時は臨時のルールが出ることがある。袋に「し尿」と書くよう求める自治体もある。防災無線や自治体のサイトで、出し方の案内を確認してから出す

平時の捨て方も、いま調べておくとよい。 お住まいの自治体名と「携帯トイレ 捨て方」で検索すれば、たいてい案内が見つかる。 それを冷蔵庫に貼っておく——それだけで、いざというときに迷わずに済む。

そなえじぃが玄関の外の日陰で、ふた付きの容器のふたを両手で閉めている。容器のそばには予備の袋のロールと、もうひとつの小さなふた付き容器が置かれている。ひなたちゃんが玄関の中から座って見守っている。
ふた付きの容器に、二重にして。収集が止まっている間の置き場所も、先に決めておく。

猫のトイレも、同じ日に止まる

人のトイレを数えたら、その子のぶんも忘れずにな。 猫のトイレは水を使わんから大丈夫——そう思われがちじゃが、そうはいかんのじゃ。

問題は使ったあとの砂の行き先じゃ。 ふだんは可燃ごみに出しておるものが、収集の止まっている間はたまり続ける。 人の携帯トイレとまったく同じ問題が、猫の側にも起きる。 消臭袋とふた付きの容器を、人の分と猫の分で分けて用意しておくとよい。

それともうひとつ。猫は砂が変わると排泄を我慢することがある。 我慢は膀胱炎や尿路のつまりにつながり、オス猫では命に関わることもある。 支援物資の猫砂が届いても、その子が使ってくれる保証はないわけじゃな。 だから、いつもの砂を。1袋多めに買って、古いほうから使う。それだけで足りる。 くわしくは猫の防災グッズ、本当に要るもの一覧に書いてあるぞ。

そなえじぃが床にひざをついて、大小2つのふた付き容器を並べて手で示している。背後の低い棚には未開封の猫砂の紙袋が2袋きちんと置かれ、右手前には空のきれいな猫用トイレがある。ひなたちゃんがトイレの縁に前足をかけて、そなえじぃを見上げている。
人の分と猫の分で、容器を分けておく。猫砂は1袋多めに買って、古いほうから使う。

よくある質問

Q. 携帯トイレは何回分いる?

A. 5回 × 家族の人数 × 日数じゃ。1日の排泄は1人5回が目安とされておる。神奈川県は最低3日分・可能なら7日分を、経済産業省は1人35回分(7日分)を呼びかけておる。2人暮らしなら7日で70回分、4人家族なら140回分。まず3日分をそろえて、そこから積み増していくのが現実的じゃな。

Q. 断水したら、お風呂の残り湯で流していい?

A. 排水管と下水道の無事が確認できるまでは流さんでくれ。神奈川県も、集合住宅で排水管の損傷に気付かず使うと下の階で汚水があふれる恐れがある、と注意しておる。水が出るかどうかと、流した水が下水まで行くかどうかは別の話でな。確認が取れるまでは携帯トイレを使う。残り湯そのものは、手を洗ったり掃除に使えるから捨てずに取っておくとよい。

Q. 使用済みはどう捨てる?

A. 凝固剤で固めてから口を縛り、二重の袋にしてふた付きの容器へ。多くの自治体では可燃ごみじゃが、災害時は収集が止まって家に置いておくことになる。直射日光を避けた風通しのよい場所に保管し、収集が再開したら自治体の案内に従って出す。袋に「し尿」と書くよう求める自治体もあるでな。

Q. 使用期限はある?

A. 製品によるが、10年から15年もつ凝固剤もある。ただし高温多湿の場所に置くと湿気を吸って固まりにくくなることがある。買ったその日に、箱へ購入年と期限を大きく書いておいてくれ。あとは防災の日のような年に一度の点検日に、まとめて見るだけでよい。

Q. 本体は家族の人数分いる?

A. いらん。便座に置く本体は家に1つで足りる。回数を決めるのは、あとから足せる凝固剤と排便袋のほうじゃ。本体をひとつ決めたら、袋のセットだけを人数×日数のぶんだけ積み増していく。この順番なら、無駄なく数をそろえられるぞ。

  • 神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」(2026年6月15日更新)
  • 経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」
  • 内閣府(防災)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」

使用済み携帯トイレの分別区分と出し方は自治体によって異なります。実際に捨てる際は、 お住まいの自治体の案内を必ずご確認ください。災害時は臨時の収集ルールが出されることがあります。